NÔNG NGHIỆP VIỆT NAM — TẠP CHÍ NÔNG NGHIỆP ĐÔNG NAM Á

ホーチミンの養豚農家が年商280億ドンで手元に残すのは5%だけ

ホーチミン市アンロン村(旧ビンズオン省)で母豚200頭・肥育豚1,500頭/回・採卵鶏15,000羽を回す女性農家の数字が、2026年10月9日のベトナム紙ダンヴィエトに載った。年商は約280億ドン、利益は約15億ドン。1円=163ドン換算(2026年10月10日時点)でそれぞれ約1億7,200万円と約920万円にあたる。利益率は5.4%。豚肉や鶏卵そのものを日本へ引く話ではないが、この5.4%は使える数字だ。ベトナムで畜産の川上に接するとき、相手の懐がどれだけ薄いかを示す実測値になる。

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母豚200頭と鶏15,000羽から年間に出てくるもの

記事の主人公はダン・ティ・トア氏(1970年生)。ホーチミン市アンロン村フーバン集落に住み、ホーチミン市農民会から2026年の「ホーチミン市優秀農民」第19回表彰を受けたばかりだ。旧ビンズオン省時代には2023年から2025年まで3年連続で省レベルの「生産経営優秀農民」に認定され、「ビンズオン省億万長者農民クラブ」に所属している。ビンズオン省は2025年7月1日の行政再編でバリア・ブンタウ省とともにホーチミン市に統合されたため、彼女の住所表記は現在ホーチミン市になっている。養豚の現場が「ホーチミン市」と書かれるのはこの再編の結果で、都心の話ではない。

公表されている生産設備は3つある。母豚200頭の繁殖舎で年2,000頭の種豚・子豚、1回1,500頭規模の肥育舎で年300トン超の豚肉、そして2025年に豚舎の一部を転用した15,000羽の採卵鶏舎で年約420万個の卵。常雇6人と季節雇6人で回している。

繁殖舎と肥育舎は、2019年以降に借入で約37億ドン(約2,270万円)を投じて建てた密閉型の空調豚舎だ。飼料倉庫から自動でパイプが餌箱に流れ、排水・糞溜め・バイオガス槽3基で糞尿を処理する。鶏舎のほうは大風量の排気ファンと冷却パッドで20〜27℃を保ち、自動給餌器と自動給水ニップルを備える。鶏糞は生物床と微生物資材で分解を速め、堆肥用に他の農場へ売っている。

30年前の出発点は「4haの土地に相当する借金」だった

トア氏はダンヴィエト紙に、1996年の状況をこう語っている。「夫と私は故郷のタイビン省タンレを出てビンズオンに来た。手元には何もなく、肩には数千万ドンの借金があった。当時のその額は4haの土地に相当した」。知人の家に住ませてもらい、レンガ積みの日雇いをした。当時の日当は1万ドンで、それすら毎日はなかったという。

最初に買ったのは在来種の小型豚(heo mọi)1組。売って白豚1組に替え、それも売ってキャッサバ畑を借りた。1998年末にキャッサバで1,000万ドンを得て、北部まで出て大豆の摺り機と種豚20頭を買って戻る。酒を蒸し、豆腐を作り、その搾りかすで豚を飼う。この組み合わせで群れは40頭になった。

生体豚価格が9,000ドン/kgまで落ちた時期には、売れば確実に赤字だったので自分で解体して市場に並べた。これが当たり、夫は豚の仲買に転じた。2009年に母豚30頭。2011〜2012年に生体価格が30,000ドン/kgを割り、周囲が豚舎を壊していくなかで、彼女は土地を買い足して1,000頭の肥育舎を建てた。「近所から『この家は気が狂った』と言われた。みんなが大損して豚舎を壊しているのに、この人は土地を買って豚舎を作ると」。

その賭けは当たり、以後3〜4年は価格が上がり続けて1頭あたり150万ドン(約9,200円)の利益が出た時期もある。約24億ドン(約1,470万円)で家を建て、母豚を120頭に増やした矢先に、夫が事故で急死する。直後に口蹄疫とアフリカ豚熱が広域で発生した2019年が来た。

2020年は防疫が持ちこたえ、「あるロットでは生体96,500ドン/kgで売れた。2020年だけで約50億ドンの利益が出た」。だがその後、肥育舎のほうがアフリカ豚熱に入られる。彼女は損を飲んで全頭殺処分と全面消毒に踏み切り、繁殖舎だけを守った。「母豚舎は肥育舎から200mしか離れていない。感染リスクが大きいので肥育舎を切り捨てるしかなかった」。繁殖舎が無傷だったため再開が速く、ここが現在の規模の土台になっている。

年商280億ドンを今日の相場で積み直すと、45億ドンが説明できない

公表された生産量と、畜産専門誌チャンヌオイ・ベトナム(Tạp chí Chăn nuôi Việt Nam)が2026年10月10日に出した相場で、売上を組み直してみた。

Category 公表規模 Annual production 2026年10月10日の相場 相場で置いた年間売上
Fattening pigs 1,500頭/回 300トン超 生体54,000ドン/kg(ホーチミン市) 約162億ドン
採卵鶏 15,000羽 約420万個 1,730ドン/個(南部) 約73億ドン
種豚・子豚 母豚200頭 年2,000頭 記事に単価なし 算出せず
上記2部門の小計 約235億ドン
記事が示す年商 約280億ドン

差の約45億ドンは、子豚・種豚の販売、鶏糞の堆肥向け販売、そして年前半のほうが豚価が高かったことで埋まる計算になる。もう一つ、この表から読めるのは自給の穴だ。300トンを1,500頭/回の規模で割り戻すと、1頭100kg前後で年2回転という勘定になる。年3,000頭を入れる計算だが、自前の子豚は年2,000頭。残りは外から買うか、回転を落として埋めている。買い手が供給の安定度を聞くなら、ここが最初の質問になる。

価格の振れ幅も並べておく。

Point in time 生体豚価格 1円=163ドン換算
2011〜2012年の底 30,000ドン/kg未満 約180円未満/kg
2020年の彼女の販売ロット 96,500ドン/kg 約590円/kg
2026年10月10日 ホーチミン市 54,000ドン/kg about ¥330/kg
2026年10月10日 全国最安(ゲアン・ハティン) 51,000ドン/kg 約310円/kg

2020年に彼女が売った水準から44%下がったところが、いまの相場だ。10月10日の全国の買取帯は51,000〜54,000ドン/kgで、北部と中部・高原は前日から1,000〜2,000ドン/kg下げている。年商280億ドンという見出しの裏側は、この相場で利益を15億ドンひねり出している状態である。2020年単年の50億ドンは、現在の年間利益の3.3倍にあたる。空調豚舎に投じた37億ドンは、今の利益水準で2.5年分だ。

周囲の養豚で同じ年に起きていたこと

彼女の表彰と並行して、ベトナムの養豚現場では別の数字が動いている。

  • ドンナイ省の畜産・水産支局によれば、2026年上半期に同省で42件のアフリカ豚熱発生があり、養豚農家59戸と農場2か所、32の村・町にまたがって13,532頭が殺処分された。前年同期比412.5%増で、7月初旬時点で4件が未収束だった
  • 農業環境省の集計では、2026年初から3月3日までに全国23省・市で225件が発生し12,676頭が殺処分。うち78件が21日未経過だった。発生は生物学的安全性の条件を満たさず未接種の小規模農家に集中している
  • 2026年5月2日、ホー・クオック・ズン副首相が決定779/QĐ-TTgに署名し、鳥インフルエンザ・口蹄疫・アフリカ豚熱の国家防疫計画(2026〜2030年)を公布した。清浄農場・清浄地域(ATDB)の構築と2層制地方行政への適合が柱に入っている
  • 10月9日にはタインホア省タッククアン村で新たな発生が公表された。アフリカ豚熱ワクチン(AVAC ASF LIVE)が自由流通に入った一方、発生地の検査結果の解釈をめぐる議論が業界内で続いている

国の統計は回復基調を示す。2026年2月末時点の全国豚群は前年同期比1.58%増で、ホーチミン市は3.8%増。農業環境省はこの伸びを「農場型飼育モデルの発展と防疫の成功」に帰している。つまり伸びているのは農場であって、小規模農家ではない。アフリカ豚熱で全村が全滅した後に無抗生剤の蚊帳養豚で再出発したクアンチの事例と並べると、同じ国で資本の厚みによって復旧経路が二つに割れていることが見える。トア氏は37億ドンを借りて密閉舎に行けた側だ。

利益率5.4%の相手に3%の値下げを頼むと、年間利益の半分以上が消える

ここが日本の調達担当にとっての実務上の核心になる。年商280億ドンに対して利益15億ドン。売上の3%を値引きすると8.4億ドンが消え、これは年間利益の56%にあたる。価格交渉の余地はほぼないという前提で相手を見たほうが事故が少ない。ベトナム畜産の川上に接するときは、「年商何十億ドン」という規模の数字と、手元に残る額を必ず分けて確認する必要がある。

もう一点は、彼女が2025年に採卵鶏へ踏み出した理由の読み方だ。豚価の循環とアフリカ豚熱は同じ方向に効く相関リスクで、豚一本では2019年がまた来たときに止まる。卵は飼養回転が速く資金回収も速いので、別の波に乗る。農業環境省も2026年2月末の報告で家禽の安定成長の理由に「飼養期間の短さと資金回転の速さ」を挙げている。供給者を評価するなら、設備の新しさより収益源が何本あるかを見るほうが実態に近い。

日本向けの経路について誤解しないでおきたい点がある。ラボバンクの2026年第1四半期レポート(ハティン紙報道)は、2025年11月にイノシシでアフリカ豚熱が出たスペイン産豚肉に対し日本とフィリピンが輸入停止をかけたと記し、東南アジアではベトナムとフィリピンでアフリカ豚熱が続いて国内生産の回復を妨げていると指摘している。発生国に輸入停止をかける同じ運用が働くかぎり、ベトナム産の生鮮豚肉が日本に入る段階にはない。日本側の接点は、加工卵・加熱処理品のような既存の出口と、設備・資材の側にある。殻むきゆで卵で日本の取引先が容器の切り替えを求めている事例は、卵が実際に動いている経路を示している。

空調舎と自動化の需要はどこから出てくるか

トア氏の設備リストは、そのまま調達品目のリストになる。冷却パッド、大風量排気ファン、自動給餌パイプと飼料サイロ、自動給水ニップル、採食量と体温の異常を検知する警報、バイオガス槽、生物床用の微生物資材。これらを「2,000頭を4〜5人から2人へ」という置き換えのために入れている。彼女はダンヴィエト紙にこう話している。「以前は2,000頭の豚を見るのに4〜5人雇っていた。今は2人で足りる。給餌、温度測定、清掃まで自動。1頭でも食いが落ちたり体温が異常になればすぐ警報が出る」。

1人あたり1,000頭という水準が、ベトナム南部の密閉豚舎で成立している。鶏側では、45日で3kgに仕上げるドンタップの空調鶏舎が6万羽を8人で回している。畜種が違うので直接は比べられないが、空調密閉舎という同じ型が労働生産性を押し上げる役を担っている点は共通する。

決定779号が2030年まで清浄農場・清浄地域の構築を国家計画として掲げた以上、この種の設備・資材・検査サービスの調達は制度側から5年押されることになる。利益率5.4%の農家が自力で37億ドンを借りて入れる設備なので、価格感度は高い。日本の資材メーカーが入るなら、初期費用の絶対額よりも人件費と事故率の削減額で説明する構成が噛み合う。

この事例を自社の調達に落とすときの確認項目

  • 相手の売上規模ではなく利益額を聞く。ベトナム語の「tỷ」は10億ドンで、28 tỷ は280億ドン。日本語の「億」に直すときの桁ずれが商談の前提を壊す
  • 生体豚・鶏卵の相場はチャンヌオイ・ベトナム(nhachannuoi.vn)が毎日更新している。同サイトは上部の常設ティッカーと日次記事で数字が違う場合があるので、日付入りの記事本文を取る
  • アフリカ豚熱の発生状況は省レベルで差が大きい。産地が決まったら、その省の畜産・水産支局(Chi cục Chăn nuôi và Thủy sản)の公表件数と未収束件数を確認する
  • 供給者の自給率を聞く。繁殖から肥育まで一貫しているように見えても、公表頭数を割り戻すと外部調達が残っている場合がある
  • 収益源の本数を確認する。単一畜種の供給者は、価格循環と疾病が同時に来たときに止まる
  • 設備提案は人件費と事故率の削減額で建てる。利益率5%前後の相手に初期費用の話から入ると進まない

280億ドンの見出しの裏にある5.4%の使い方

ダン・ティ・トア氏の30年は、在来黒豚1組から母豚200頭と採卵鶏15,000羽までの話として読める。ただし日本の調達・OEM側が持ち帰るべきはそこではない。年商280億ドンという見出しと、手元に残る15億ドンの落差である。彼女自身がダンヴィエト紙で言っているのは根性論ではなく技術論だ。「貧困から抜け出せないなら、それは自分のせいだ。抜け出したいなら、戦う気持ちと学ぶ意欲、新しい技術を調べて使うことが必要になる」。

次の一手として3つを勧める。第一に、既存のベトナム産原料の仕入先について、売上規模ではなく利益額と収益源の本数を次回の面談で確認すること。第二に、豚肉由来の原料を検討しているなら、生鮮ではなく加熱処理品・加工品の経路で設計し直すこと。第三に、設備・資材側で商機を見るなら、決定779号の清浄地域構築が走る2026〜2030年を期間として、人件費削減額で見積もりを組むこと。相場と発生状況は毎日動くので、産地を決める前にその省の直近の数字を取り直してほしい。

Sources

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Author of this article

While running a food brand in Kyoto, I have worked on products that bring out the appeal of ingredients, such as dried vegetables and vegetable powders. I am now in my second year living in Vietnam, where I am also involved in coffee production on the ground, learning the whole process from cultivation to processing and flavor development. Out of a wish to deliver foods people can enjoy with peace of mind in everyday life, I value products whose production background and the faces of their makers are visible. Drawing on the appeal of both Japanese and Vietnamese food cultures, I aim to bring a little richness to daily life.

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