NÔNG NGHIỆP VIỆT NAM — TẠP CHÍ NÔNG NGHIỆP ĐÔNG NAM Á

痩せた丘に20億ドン、韓国ぶどうと巨峰がキロ最大2,350円で売れる

ベトナム北中部タインホア省シュアンズー村(xã Xuân Du)の丘陵地で、韓国系の「ミルクぶどう」(nho sữa Hàn Quốc)と日本の巨峰がビニールハウスで実を付けている。経営するのはホアン・ヴァン・トゥアン氏(Hoàng Văn Tuấn)。本業はシュアンズー村の経済課長で、クアック・ヴァン・スー氏(Quách Văn Sự)と共同で、銀行借入と親族からの調達を合わせて20億ドン弱をハウス・自動灌水・約1,500株に投じた。販売価格は1kgあたり30万〜40万ドン。1円=163.4ドン換算で約1,840〜2,450円になる。2026年10月7日、ベトナム農業環境省系の日刊紙Báo Nông nghiệp và Môi trườngが報じた。

日本の調達担当にとってこの一件が引っかかるのは、価格でも面積でもない。日本の品種が植わっているのに、栽培手順と技術指導の座を韓国が押さえている点だ。トゥアン氏の農場は韓国の栽培プロトコルを「パッケージ丸ごと」購入し、韓国人の農業技師の指導を受けている。日本側が供給しているのは品種名だけである。

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20億ドンを借りて1,500株、最初の1年で2トン

原文によれば、トゥアン氏が最初に手を付けたのは「荒れて効率の悪い丘をどう生計に変えるか」という課題だった。タインホア省ではまだ一般的でない高級ぶどうを選んだため、必要な投資額と管理精度は在来作物の比ではない。2人は銀行から借り、親族からも集めて20億ドン弱を用意した。原文の表記は「gần 2 tỷ đồng」で、ベトナム語のtỷは10億を指すため2 tỷは20億ドンにあたる。内訳はハウス、自動灌水システム、生産用の付帯設備で、対象は約1,500株である。

ここは候補段階の要約が取り違えていた箇所なので、はっきりさせておく。1,500株は韓国系ミルクぶどうと巨峰を合わせた全体の株数で、巨峰だけで1,500本という記述は原文にない。

約1年の管理で初回の収穫に至り、収量は約2トン。2作目以降は1作あたり10〜15トンに上がった。株数で割ると1株あたり6.7〜10kgという水準になる。

Item 原文の記載 円換算・計算値(1円=163.4ドン)
Initial investment 20億ドン弱(ハウス・自動灌水・付帯設備) 約1,150万〜1,220万円
植栽 約1,500株(韓国系ミルクぶどう+巨峰) 1株あたり投資は約7,800円
First harvest 約2トン 1株あたり約1.3kg
2作目以降の収量 1作10〜15トン 1株あたり6.7〜10kg
Selling price 30万〜40万ドン/kg 約1,840〜2,450円/kg
1作の粗売上(単純計算) 30億〜60億ドン 約1,840万〜3,670万円
出典:Báo Nông nghiệp và Môi trường(2026年10月7日)の記載値から換算・算出。粗売上は収量と単価の単純積。

単純積で出した1作の粗売上が、初期投資の20億ドン弱を1作で超える計算になる。ただし原文は「経費を引いたうえで相当の利益が出ている」としか書いておらず、利益額も1級品の歩留まりも年間の作付回数も示していない。この表の下2行は投資判断の根拠にはならず、投資回収がおそろしく速い形の作物だという桁感をつかむための数字として読むのが適切だ。

栽培の正解は韓国から「丸ごと買った」

トゥアン氏は原文で、ぶどうは「思い出したことをやる」式(nhớ gì làm nấy)では管理できないと述べている。剪定、摘葉、その他の管理工程はすべて周期と時期が決まっており、1工程でも外すと生育と着果に響く。その認識があったからこそ、農場は韓国の技術手順をパッケージで購入し、同時に韓国人農業技師の指導を受け入れた。

この順番が重要だ。高く売れる品種を選ぶことが出発点ではなく、品種の値段を引き出す手順を自分のものにすることが出発点になっている。原文はこれを「生産思考の重要な転換」と位置づけている。ハウスは天候の悪影響を遮り、自動灌水は水の供給を制御する。感覚頼みの経験依存を少しずつ外していく構えだ。

農場はさらに、一部の有核ぶどうを無核に切り替える技術も試している。管理面ではアプリとカメラ、自動灌水を組み合わせ、村の経済課長として役場の仕事をしながら圃場を遠隔で見る形をとっている。専業農家ではないという制約を、設備投資で埋めにいった構図である。

同じ痩せた土地をハウスに変えて韓国系ぶどうを入れる動きは、ハノイ近郊でも起きている。ノイバイの農家が10億ドンを投じて韓国系ぶどうを国産化した事例と並べると、シュアンズー村の20億ドン弱はその倍の規模にあたる。投資額の階段が1桁上がったのではなく、同じ階段の2段目に乗ったと見るのが近い。

同じ韓国系ぶどうが産地で15万ドンから40万ドンまで開く

同じ媒体が2026年に報じた他の産地と並べると、この「韓国系ミルクぶどう」の単価が産地ごとに2倍以上ばらついていることが見える。なお各行の価格はその農場の販売価格で、複数品種を植えている農場は品種別に分かれていない。

Growing region Operator Scale Variety Price (VND/kg) Yen conversion Report date
タインホア省シュアンズー村 ホアン・ヴァン・トゥアン氏/クアック・ヴァン・スー氏 約1,500株/投資20億ドン弱 韓国系ミルクぶどう+巨峰 30万〜40万 約1,760〜2,350円 2026/10/7
タインホア省ドンティエン地区 グエン・フー・フアン氏 1ha超/韓国から1,200株取り寄せ 有機栽培ぶどう 約30万 約1,760円 2026/10/7
クアンニン省アンシン地区 ゴー・ドゥック・チー氏 ハウス約2ha 韓国系ミルクぶどう 30万〜35万 約1,760〜2,060円 2026/5/27
トゥエンクアン省ミンスアン地区 ホアン・ティ・クック氏 1サオ超/ミルクぶどう60株+黒ベビー90株 ミルクぶどう 25万 約1,470円 2026/6/15
クアンニン省ビンケー地区 ヴー・スアン・ソン氏夫妻 1,500m²超 韓国系ミルクぶどう+ハーデン 約15万 約880円 2026/5/27
出典:Báo Nông nghiệp và Môi trường各報道の記載値。円換算は1円=163.4ドン(2026年10月10日時点)。

最安のビンケー地区は初収穫1.5トンで売上2億ドン超を見込む段階、最高のシュアンズー村は2作目以降で10〜15トンを出す段階にある。価格差を生んでいるのは品種ではなく、販路と選別の成熟度だ。アンシン地区のゴー・ドゥック・チー氏の農場は1級品が70%で30万〜35万ドン、収量は1サオ(360m²)あたり3タ(約300kg)。1級品比率と単価が連動していることがはっきり読み取れる。

タインホア省内でも同じ構図が出ている。同じ日に報じられたドンティエン地区のグエン・フー・フアン氏は韓国で約5年ぶどう農場に勤め、2024年初めに帰国して効率の悪い1ha超を借り受け、韓国の指導者に選んでもらった1,200株を取り寄せた。2026年産の見込みは6トン、単価は約30万ドン。片方は技術をパッケージで買い、片方は体で覚えて持ち帰った。到達している単価はほぼ同じである。

摘粒に5人を3か月、ハウスは暴風で破れる

この作物の手間とリスクについては、同じ媒体に実名のコメントが残っている。

  • タインホア省チュンチン村でシュアンヒエウ農場を営むレ・イエン・フオン氏は「ぶどうは非常に敏感で、1工程でも失敗すれば一作に響く」と話す。同農場は2,000m²超のハウスに遮熱材を入れ、スマート管理と自動点滴灌水を組み合わせている。
  • 同氏はさらに「摘粒だけのために作業員5人を3か月間通しで雇った時期がある。見た目は単純だが、一番手間のかかる工程だ」と述べている。開花後に小粒・変形・生育不良の粒を何度も落として養分を集める作業だ。
  • クアンニン省アンシン地区のゴー・ドゥック・チー氏は「この品種が難しいのは一房ずつ丁寧に見なければならないところ。着果したら小さい房を落として、きれいな実に養分を集める」と語る。同農場は選別後の房をすべて袋がけしている。
  • クアンニン省栽培・植物防疫支局長のチャン・ヴァン・トゥック氏は、省内の韓国系ミルクぶどうとハーデンの栽培モデルが地域の気候・土壌への適応性を示したと評価する一方、広げるには資金・技術・販路接続の支援が必要だと指摘している。
  • ドンティエン地区のグエン・フー・フアン氏はハウスを溶接せずボルト組みにした。「手間はかかるが可動性が高い。借地の延長が通らない場合や災害時に骨組みを丸ごと外して移せる」。実際に2025年、初めての着果期に暴風雨でハウスが複数箇所破れ、浸水した。

手間と天候リスクを並べると、30万〜40万ドンという単価は高級品のプレミアムというより、この労働集約度と設備費を成立させる最低線に近い。ベトナム国内でハウスぶどうが増えて単価が下がり始めたとき、最初に効くのは摘粒の人件費である。

日本側が入れる余地は品種ではなく収穫後にある

巨峰は日本で生まれた品種だが、育成者権の保護期間はすでに終わっており、現行の登録品種ではない。農林水産省が2020年12月2日に公布した改正種苗法の海外持出制限は登録品種を対象とする制度のため、巨峰には及ばない。海外で植えられてもロイヤリティは発生しない。シュアンズー村のハウスに巨峰が植わっていること自体は、日本側に収益も交渉カードも生まないということだ。

一方で、栽培手順と技師という「売れる部分」は韓国が取っている。トゥアン氏の農場は韓国の手順をパッケージで購入し、フアン氏は韓国の農場で5年働いて手順を持ち帰り、帰国後も韓国の指導者に苗の選定を頼んでいる。北部〜北中部の高級ぶどうの技術系統は、現時点では韓国経由で組み上がっている。

日本の資材・設備・商社が入り込む余地は、原文自身が次の課題として挙げている工程に残っている。原文は、高級農産物の価値を上げるには生産だけでは足りず、収穫・選別・包装・保管を科学的に組み立てて「圃場から市場まで一本の流れ」にする必要があると書いている。品質の均一性、収穫後ロスの抑制、流通システムの要求への適合がその中身だ。選果ライン、予冷、鮮度保持包装、房ごとのトレーサビリティが、産地側が自分で課題だと名指ししている領域にあたる。

買い手の顔ぶれも日本側の読みに使える。原文によれば、初回の作からクリーンフード流通のBác TômとAmwayが発注し、さらにEMI Nhật Bản株式会社が圃場まで来て引き合いを入れた。小売、MLM、企業調達の3経路が初期から並んでいる形だ。なお同社の出資関係については原文に記載がなく、社名から日系と決めつけるのは避けたい。クアンニン省の事例では、丹念な管理で「見た目は輸入品に劣らない」房ができているという記述が出てくる。品質の物差しが輸入ぶどうに置かれ、現に売れている先がベトナム国内の小売と企業である以上、この産地が取りにいっているのは国内の輸入ぶどう需要だと読むのが素直だ。原文も輸出については「輸出市場に届けば経済価値はさらに上がる可能性がある」という条件付きの書き方にとどめている。日本からの生果輸出を考える側にとっては、競合が現地に育っている局面になる。

北部から北中部へ4年で広がった産地の単価はどこへ向かうか

時系列を並べると普及の速さが見える。クアンニン省アンシン地区のゴー・ドゥック・チー氏が苗を導入したのが2022年、ビンケー地区のソン氏夫妻がグラジオラス畑をぶどう園に変えたのが2024年4月、タインホア省チュンチン村のフオン氏が品種を決めたのが2023年、フアン氏の帰国が2024年初め。4年のあいだに北部のクアンニン省から北中部のタインホア省まで、ハウス+自動灌水+韓国系品種という同じ型が横に広がった。

横展開が続けば単価は下がる。すでに同一品種で15万ドンから40万ドンまで開いているのは、産地間で販路の差がむき出しになっている状態だ。選別・包装・保管を先に固めた経営体が高い側に残り、生果をそのまま出す経営体が安い側に落ちる。トゥアン氏の農場が有核から無核への切り替えを試しているのは、この先の価格競争を見越した品種側の手当てと読める。

タインホア省は果樹の適地とは見られてこなかった土地だ。フオン氏の事例に明記されているとおり、夏は日射が強く高温、冬は寒さが長引いて樹が休眠に入り、伝統的なぶどう産地より生育が遅れる。それをハウスと遮熱材で押し返している。同じ省で土地の使い方を切り替える動きは果樹以外でも進んでおり、タインホアの稲田にオニテナガエビを混養して同じ土地の価値を1.5〜3倍にした事例と並べると、省全体が単位面積あたりの単価を上げる方向に動いていることがわかる。丘陵地を高単価作物の棚に変える判断は、キャッサバの丘3haをパッションフルーツ棚に変えて回収が単価で決まった事例と同じ経済合理性の上にある。

Items to confirm before negotiation

この産地に接触する場合の基礎情報と、原文だけでは埋まらない確認事項を整理する。

Item Details
Location ベトナム・タインホア省シュアンズー村(xã Xuân Du)の半山地(丘陵地)
経営 ホアン・ヴァン・トゥアン氏(シュアンズー村経済課長)とクアック・ヴァン・スー氏の共同
Variety 韓国系ミルクぶどう(nho sữa Hàn Quốc)、巨峰(nho Kyoho Nhật Bản)
規模・投資 約1,500株、初期投資20億ドン弱(約1,150万〜1,220万円)
Yield 初回約2トン、2作目以降1作10〜15トン
Unit price 30万〜40万ドン/kg(約1,760〜2,350円)
既存の買い手 Bác Tôm、Amway、EMI Nhật Bản株式会社
技術系統 韓国から栽培手順をパッケージ購入、韓国人農業技師が指導
Equipment ハウス、自動灌水、カメラ監視、アプリによる遠隔管理
出典:Báo Nông nghiệp và Môi trường(2026年10月7日)の記載を整理。

引き合いを入れる前に埋めておきたい空白は次の5つだ。

  1. 年間の作付回数。報道にあるのは「1作10〜15トン」までで、年間供給量はここが決まらないと出ない。
  2. 1級品の歩留まり。クアンニン省アンシン地区の事例では70%という数字が出ている。同じ指標をシュアンズー村でも取る。
  3. 残留農薬と認証の状況。韓国の手順をパッケージで入れている以上、使用資材は韓国基準に寄っている可能性が高い。日本向けなら基準の読み替えが先に必要になる。
  4. 収穫後工程の実態。選果、予冷、包装、保管のどこまで自前で持っているか。原文はこれを「今後組み立てる必要がある」側に置いている。
  5. ハウスの耐風性。同じ省の別事例では2025年の暴風雨でハウスが破れ浸水している。台風期の供給中断リスクは契約条件に反映しておく。

先に動くなら持っていくのは品種ではなく収穫後工程

トゥアン氏は丘の土地を受けて花桃(đào phai)を植えるために500万ドン(約3.1万円)を借りたところから始めている。天候が崩れて花が早く咲き、手間がほぼ無駄になった年もあった。それでも技術を学び、販路を探し、やり方を直し続けた結果が、20億ドン弱のハウスである。本人は、このモデルの価値を収入ではなく「住民が生産のやり方を変える踏み切り材料になること」に置いている。村の経済課長として技術・資金・販路の相談を受ける立場にいるため、農場の経験がそのまま住民への助言になる構えだ。

日本の調達・OEM側が取れる動きは3つに絞られる。1つ目は、タインホア省とクアンニン省の高級ぶどう産地に対して選果・予冷・鮮度保持包装の提案を先に入れること。原文が課題として挙げている工程であり、まだ韓国勢も押さえていない。2つ目は、日本の高級ぶどう生果をベトナムへ出す計画がある場合、競合として国内ハウス産地を価格帯ごと織り込み直すこと。見た目で輸入品に並ぶ房が1,760〜2,350円で出てくる前提に変わる。3つ目は、交渉窓口が村の経済課長であるという特異な条件を使って、1農場ではなく村単位の産地形成として話を組むことだ。

まずはシュアンズー村と、同じ日に報じられたドンティエン地区の2農場に対して、年間作付回数と1級品歩留まりの2点だけを聞く短い照会を出すところから始めたい。この2つが埋まれば、年間供給量と提案可能な収穫後設備の規模が同時に決まる。

Sources

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Author of this article

While running a food brand in Kyoto, I have worked on products that bring out the appeal of ingredients, such as dried vegetables and vegetable powders. I am now in my second year living in Vietnam, where I am also involved in coffee production on the ground, learning the whole process from cultivation to processing and flavor development. Out of a wish to deliver foods people can enjoy with peace of mind in everyday life, I value products whose production background and the faces of their makers are visible. Drawing on the appeal of both Japanese and Vietnamese food cultures, I aim to bring a little richness to daily life.

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