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借地契約のないまま2億ドン超の収穫ロボットが入ったゲアンのハマグリ干潟

ベトナム北中部ゲアン省クインフー社(旧クインルー県)の干潟で、1台2億ドン超の収穫ロボットが試運転に入った。1万ドン=約61円(2026年10月13日時点)で換算すると約122万円を超える機械で、使っているのは25年ハマグリ養殖を続けてきたチャン・ゴック・ホアン氏だ。元記事によると1日あたり6,000〜7,000平方メートルを掘り、連続稼働は最大7時間。潮が引いていても満ちていても作業でき、揚がったハマグリに砂がほとんど混じらない。ところがこの区画には、海面の借地契約がない。日本の貝類バイヤーが見るべきは機械の値段ではなく、機械を入れられるだけの体力を持った養殖者が、どれだけ契約上の裏づけを持っていないかという点にある。

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2億ドン超の収穫機が1日6,000〜7,000平方メートル、稼働は最大7時間

ホアン氏は「規模を大きくするには投資して技術を使い、人の負担を減らすしかない」と話している。高いが採取量の増加がはっきり見える、というのが同氏の評価だ。注目したいのは砂の扱いで、手掘りや簡易な熊手での採取では殻の内側に砂を抱えたまま揚がり、出荷前の砂抜き工程に負担が回る。機械で底土ごと持ち上げて篩い分ける方式なら、その負担が養殖者側で一段減る。

この機械が成立する条件は面積だ。同じ記事に出てくるレ・タン・トゥン氏の区画は2.4ヘクタールで、投資額は6億ドン(約367万円)。2億ドンの機械は2.4ヘクタール規模の投資額の3分の1に当たり、1区画の持ち主が単独で抱えるには重い。ホアン氏の養殖面積は数十ヘクタール規模とされ、仮に30ヘクタールを1日6,500平方メートルのペースで一巡させると単純計算で46日前後。採取を分散させながら年に数回転させる規模があって初めて、機械の償却が成り立つ。小規模な養殖者が同じ機械を買う話にはならず、干潟の作業効率は面積で二極化していく。

2001年の先駆けが2003年に省の研究課題になり5年の委託契約で止まった

ホアン氏がベンチェー産の種を持ち込んでこの干潟でハマグリ養殖を始めたのは2001年で、見込みがあると判断した周辺の世帯が後に続いた。2003年には当時の省水産局と科学技術局、地元行政が組んで、旧クインルー県でベンチェー種ハマグリ養殖の科学応用課題を実施している。このとき契約を結ぶ権限は社(コミューン)にあり、委託契約の有効期間は5年だった。台風と病害でハマグリが大量死した時期もあったが、再投資の支援を受けられた。養殖者側は、それを国が事業を認めた証拠として受け取っていた。

流れが変わったのは旧クインルー県が養殖区域全体のゾーニングに着手してからだ。自然採取の区域、航路の区域、食用ハマグリの養殖区域、種苗用ハマグリの区域が線引きされ、同時に以前のような海面賃借契約の締結が認められなくなった。結果として養殖者は制度の枠外、元記事の表現では「ヌオイ・ゴアイ・ルオン(nuôi ngoài luồng=枠の外での養殖)」の状態に置かれたままになった。契約が生きていた期間は納税義務を果たしており、その後は税が徴収されない代わりに地元への福祉拠出という形で自主的に負担している、というのが当事者の説明だ。長期の土地賃貸を認めてほしい、年次の財務義務を果たせる根拠が欲しいという要望はそこから出ている。

買い手の視点でこれを言い換えると、契約がない区画は認証の対象になりにくく、担保にもならず、面積ベースのトレーサビリティの裏づけも取りづらい。汚れた川を避けて海水を5キロ引いたゲアン省のエビ養殖55ヘクタールでも、土地契約が未確定のまま投資が先に進んでいた。同じ省の沿岸で同じ順番が繰り返されている。

2.4ヘクタールに6億ドンを入れたレ・タン・トゥン氏が3年前から積み上げ始めた

トゥン氏はホアン氏と初期から行動をともにしてきた養殖者で、「この仕事は上がり下がりが読めない」と語る。数年前までは雨風が続いて取り分が残らず、直近3年でようやく少し蓄積ができたという。それでも区画が小さいほど単位面積あたりの出費は膨らむ。2.4ヘクタールで6億ドンという数字は、1ヘクタールあたり2億5,000万ドン(約153万円)の水準になる。

ここ2年は別の問題が出ている。既存の養殖区域に杭を打って入り込む動きがあり、海や自然のものだから早い者勝ちだという主張が通ってしまう。区域が制度上「自由」なままだと争いが解けない。小規模な盗難も続いているが、強く出れば違法になり、放てば押し込まれる。ホアン氏の家族は行政合併前にはクイントー、ソンハイ、クインロン、クイントゥアンの4社にまたがって養殖し、契約が有効だった期間には合計で十億ドン単位(10億ドンで約612万円)の財務義務を納めていた。自然発生的に生まれた産地ではないという主張の根拠はそこにある。

ハマグリの規格が1キロ30〜40個から80〜100個に下がった

契約期間の短さが製品の規格に跳ね返っている様子は、ナムディン省の加工輸出企業の話から読み取れる。オランダのレンゲル・シーフーズ傘下のレンゲル・ベトナム水産(Công ty TNHH Thủy sản Lenger Việt Nam)は、同紙の取材でグエン・ホー・グエン総経理が2024年通年の輸出を1,400万米ドル超、数量で1万2,000トン超の見込みとし、販売先をEU、日本、米国、韓国と挙げている。国内売上は前年の480億ドンから2024年は550億ドン(約2.9億円から約3.4億円)に伸びる見込みだとしている。

同じ取材で示されたのが規格の変化だ。以前は1キロ30〜40個の大きさが主力だったが、現在は1キロ80〜100個が中心になっている。種苗供給が不安定で遺伝資源が劣化し、小型化と低収量が進んでいるという説明がつく。水面の賃借期間が通常1年であることも、長期投資を妨げる要因として挙げられている。1年の権利で親貝の管理や種苗場に金を入れる養殖者はいない。

日本側で貝の大玉を求める用途、たとえば焼き物や刺身向けの供用枠は、この規格低下と正面からぶつかる。1キロ80〜100個は日本の棚で見れば小ぶりで、むき身やボイル、惣菜原料の側に寄る。同社は保存技術で生鮮の鮮度を5〜10日保てるとしており、空輸と船便の選び方で用途が決まる。日本の貝仕入れでどこを確認してきたかは、ベトナムのバイ類養殖が年6,200トン規模に育った経緯でも整理した。

砂抜きに3ヘクタールを割くサンアン社と500ヘクタールでASCを取ったナムディン省の差

採取時に砂を噛まないことと、出荷前に砂を抜く設備を持っていることは別の話だ。タインホア省タンティエン社のサンアン有限会社(Công ty TNHH San Anh)は、同紙が8月に報じた時点で沖合の養殖区域約224ヘクタールを管理し、これとは別に、ハマグリ向けとして種苗生産に約2ヘクタール、出荷前の蓄養と処理に約3ヘクタールを持つ。砂底の池で砂と泥を落とし、殻や死貝、割れた貝を除き、微生物処理で粘度と臭気を抑えて水を再利用する。筏や箱に浸けて砂を吐かせる工程も入る。出荷能力は1日70〜100トンで、販売先は欧州、米国、日本、韓国。タンティエン社人民委員会の副主席は、産地をASC基準に向けて育てる方針を示している。

すでに取っている産地もある。ナムディン省ギアフン県の沿岸社群にある500ヘクタールのハマグリ養殖区域はASC認証を受けており、2024年12月時点で同省で輸出加工向けの収穫条件を満たすハマグリ区域は2区域と報じられている。認証の中身を確かめる作業は、ASC飼料認証でベトナムが世界最多の15工場を抱えた経緯と同じ手順で進める。誰が、どの面積に対して、いつまで有効な証書を持っているかを突き合わせる。

調達側が聞く項目は四つに絞れる。区画の賃借契約が残り何年あるか、その区画がゾーニング上で食用養殖か種苗か自然採取のどれに分類されているか、砂抜きの蓄養面積を誰が何ヘクタール持っているか、実際に出せる規格が1キロ何個かだ。ゲアン省の干潟のように契約のない区画からの出荷は、認証取得と区画の継続性の両方で詰まる可能性がある。

クインフー社の人民委員会は、養殖者の要望を受けて水産養殖の全体ゾーニングを進める手順と手続きの指導を専門機関に求める文書を出し、その内容は承認済みだ。次は住民との協議で、用地の引き渡しを取りまとめる段階に入る。協議で区画が割り直されれば、2億ドン超の機械を入れた干潟がこのまま同じ養殖者の手元に残るかどうかもそこで決まる。

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Author of this article

While running a food brand in Kyoto, I have worked on products that bring out the appeal of ingredients, such as dried vegetables and vegetable powders. I am now in my second year living in Vietnam, where I am also involved in coffee production on the ground, learning the whole process from cultivation to processing and flavor development. Out of a wish to deliver foods people can enjoy with peace of mind in everyday life, I value products whose production background and the faces of their makers are visible. Drawing on the appeal of both Japanese and Vietnamese food cultures, I aim to bring a little richness to daily life.

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